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東京高等裁判所 昭和24年(新を)983号 判決 1949年11月25日

被告人

宮田斌

主文

原判決を破棄する。

本件を東京簡易裁判所に差戻す。

理由

本件が窃盜被告事件であつて刑事訴訟法第二百八十九條に所謂弁護人が無ければ開廷することのできない事件であることは刑法第二百三十五條の規定に徴して明白である。而して本件が刑事訴訟法施行法第四條第一項に所謂新法施行の際未だ公訴が提起されていない事件であることは記録上明白である。されば簡易裁判所である原審裁判所では本件について、被告人からあらかじめ書面で弁護人を必要としない旨の申出があつたときには、新法施行の日から一年間は新法第二百八十九條の規定にかかわらず、弁護人がなくても開廷することができることは刑事訴訟法施行法第五條に依つて明白である。然るに本件において原裁判所に対し被告人から右の申出がなかつたことは記録上明白である。從つて原審裁判所における第三回公判の開廷は違法である。

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